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2017.02.01
アメシスト


 誕生石シリーズがついに最終回となりました。2月の誕生石はアメシストです。和名で『紫水晶』と呼ばれ、その名からもわかるように水晶の一種です。紫、青紫、赤紫色などをした水晶で、その紫色の発色原因は微量に含まれている鉄イオンと水晶の結晶が結びつくことによるものだとされています。この鉄イオンの含有量が多いと色が濃くなることが知られており、色帯構造やムラのある紫色が特徴で、この紫色が深く一様に見られるアメシストほど良質とされています。アメシストを250℃前後で加熱すると紫色から黄色・褐色・緑色に変わり、更に加熱すると無色になります。黄色に変色したものはトパーズと間違えることがあるそうです。アメシストは日光で退色するので太陽光を避けるなど取り扱いには注意が必要のようです。

 

 アメジストともいわれますが、これは発音間違いのようです。アメシストの名前の由来は有名なギリシャ神話から命名されたといわれています。その神話を簡単にご紹介したいと思います。
 酒と豊穣の神バッカスはいたずら好きで家来の猛獣に襲わせようとしたのが、たまたま通りかかったアメシストという名の少女でした。この惨事に気づいた月の女神アルテミスは猛獣から守るため、アメシストを一瞬に純白の水晶に変身させました。その後、酔いから覚めたバッカスはその水晶のあまりの美しさに自分の犯した罪を反省し、水晶にワインを注ぎました。するとアメシストは透明な水晶から紫色の宝石『アメシスト』になったといわれています。

 ここから古代ローマではアメシストから作られた杯でお酒を飲むと悪酔いや二日酔いをしない、酒を強くする力があるなど西洋では信じられているようです。語源はギリシア語で「酒」を意味する“methy”に否定辞の“a”が付いた“amethy”で“amethystos”(酒に酔わない)が由来します。

 

 古代から高貴で官能的な色として愛されてきたアメシストの紫色は歴史的には、聖徳太子が定めた『冠位十二階』で最高位の色として崇められ、宗教的な儀式では非常に大切にされてきた色と伝えられています。中国では皇帝だけが身につけることを許された色といわれています。ヨーロッパでは2万5千年前につくられた遺跡からも、アメシストの加工品が見つかっており、ユダヤ教では「聖なる宝石」、キリスト教では「司祭の石」として深く尊敬されてきました。
 

 アメシストの石言葉は「誠実・心の平和・高貴・覚醒・愛情・希望」など。硬度は7、比重は2.65です。主要産地はブラジル、ウルグアイ、マダガスカルです。ブラジルのリオ・グランデ・ド・スール州は世界最大の産地で淡い紫色が特徴、ウルグアイ産のものは深い紫、マダガスカル産のものは赤やすみれ色に近い紫という特徴があり、ウルグアイはアメジストの産出国であったことからアメシストを国石としています。その他、南アフリカ、インド、メキシコ、ロシア、アメリカ、ジンバブエ、などから産出されます。日本では、宮崎県白石市の雨塚山や鳥取県日野町藤屋、秋田県協和町大仙市で産出されました。日本からも『加賀紫』と賞賛されたほど美しい良質なアメシストが産出されていたようですが、現在ではほとんどがブラジルからの輸入品のようです。

 

 コラム誕生石が最後の配信となりました。1年間ご愛読いただきありがとうございました。といっても、コラムが終了するわけではありませんので、今後も引き続き配信していきます。宜しくお願い致します。

(コラム*ミーアキャット)


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